小学校の先生からすばらしいコメントをいただきました。
横浜で小学校の教員をしています。 今日も、egword Universal 2でおたよりを作りました。 子どもたちの日記を集めた物で、縦書きの2段組です。レイアウトグリッドを使っているので、上下の行がそろってきれいにできます。 スマートインライン変換のおかげ、小学生向けの中途半端な漢字とかなの交じった文章の入力もだいぶ楽になりました。 ワープロの新しい価値って何でしょうね? 自分の日記がおたよりに載った子どもたちは、 「わたしの日記がおたよりにのってうれしかったことを今日の日記に書きたいです。」といいます。
私が作っているものは単なる道具にすぎません。それを使って生み出されるコンテンツにこそ価値があり、そのコンテンツは人々に新しい知識を与え、心を揺さぶり、世界を変える事もあります。価値あるコンテンツを生み出すのは常に人間であるユーザです。道具が世の中を変えられるなどという考えは傲りであり、大ヒットしているiPod もすばらしい音楽があるからこそ存在意義があるのです。
ワープロはビジネスツールとして生産性を高める事に重きを置いて発展してきました。請求書のような定型文書を効率よく書くことができ、チラシならワードアートでちょちょいのちょいというわけです。さらにあらゆる文書作成で使えるように様々な機能が追加されてきました。
このように文書作成ツールとして確固たる地位を築いたように見えたワープロでしたが、定型文書はデータベースに、見栄えが重要な文書はパワーポイントというように、ユーザは他のジャンルのソフトにどんどん乗り換えていきました。本来の使い方であるシンプルな長文作成をしようと思っても重くて使えないという声をよく聞きます。万能ナイフは手持ちの道具がそれ1本しかないときには大いに役に立ちますが、使い勝手は専用の道具にかないません。
私がまず最初に取り組みたいと思うのは、文章を書くためのシンプルな道具です。万能ナイフではなく切れ味のいいフォールディングナイフのような道具です。書く人が集中できて気持ちよく書くことができ、出来上がったものを気持ちよく読んでもらえる、そのお手伝いをさせていただければと思います。これまでにそういうコンセプトで作られた製品もありましたし、私の尊敬する方が作っているシェアウェアも同じ気持ちで作られています。
「この製品を使ってどんな文章を書いてもらえただろう、その文章はどんな風に読まれたのだろう」と、いつも楽しみに思えるようなモノづくりを心がけていきたいと思います。これが私の考える新しい価値です。
いつの日か私の作った道具でどんどんコンテンツを生み出してもらえるようにがんばります。
よく尊敬する上司に言われますが、私はワガママなガキなんだそうです。
norihito様 はじめてコメントさせていただきます。
私にとってegword Universalはどことなく思い入れを感じさせる道具です。それは表面的な機能だけではなく、表示の美しさとかスクロールやズームのなめらかさとか、そのほとんどがユーザーの感情に訴える部分であることに気付きました。出来上がる文章そのものには関係ないかもしれませんが、気持ちよく使えることが間接的に出来を左右することもあるかもしれません。それらはとりもなおさず自分がMacを使っている理由そのものなのかもしれません。いつかegwordのDNAを引き継いだ新しい道具が生れることに希望のようなものを感じます。勝手なことを書きましたが、これからのご活躍を願っています。
Posted by: TM | 02/03/2008 at 00:30
>TMさん、
ありがとうございます。egword Universal もegbridge Universal は思い入れたっぷりの製品です。どちらの製品も軽快になめらかに動くことを念頭に置いていました。
egword のズームの滑らかさなんてどうでもよい気がしますが、ちゃんと選択範囲のど真ん中を中心に滑らかにズームするようになっています。
スクロールも滑らかに行えるように、スクロール中に余計な計算をしなくても済む工夫が入っています。
Posted by: norihito | 02/03/2008 at 00:40
道具でなくコンテンツに価値?私は違うと思います、道具とコンテンツは不可分のものです。価値はその相乗作用によって、生み出され、高められまています。人が言葉を獲得したからこそ、様々な思考や感情が発展したように。いい道具があればこそコンテンツの豊かさが生み出される。美しい(優れたまた使い心地のいい)道具を使っていると、無意識のうちにその道具との対話が起こります。その対話の中から、使う者は自分の世界を少しずつ広げていくのだと思います。いい道具によって人間の思考や発想は豊かさを獲得できるのです。アップルの考え方もそこにあるからこそ、「美しさ」という特別の思想や感性を徹底させているのでしょう?天才は美しい環境に育つといわれます。egword universalの価値もその辺にあるとお考えだからこその、この製品が生まれたのでしょう。さらにいい「道具」を私たちに提供してください。
Posted by: kiki | 02/03/2008 at 08:09
新しい価値ではないですが、私が昔から求めるワープロへの価値は「ここの画像をちょっと2pxくらい動かしたい」「この複数の画像を中心にそって綺麗に並べたい」「画像の幅を綺麗に揃えたい」「この表の上の線だけ太くしたい」というホンの些細なことに時間をとられずサクッと出来て、本来の文章作成に集中出来る、そしてフォントが美しく描画されるワープロ」です。この求める価値を理想に近い形で実現しているのがegword Universal 2です。Wordも一太郎もOpenOffice.orgも使いますが、やはり細部に神が宿っていないというか、機能てんこ盛りなのはいいけど肝心の文書やレイアウトの作成で「イラッ」とすることが多いのです。
ただ、egword Universal 2で唯一、「Wordの方が使いやすい」と思っているのが、表の罫線を描く機能です。表の作成機能自体は直感的だし、テンプレートはegwordの方が美しくて優れていると思うのですが、「右と左のラインだけ太くしたい」という時に鉛筆アイコンで描くように太くすることが出来る部分はWordのほうが直感的だと思います。
表をドラッグして自動的に作成出来たり、表をまるごとグリグリ動かして自由自在にレイアウト出来るのはegwordだけが出来る素晴らしい機能ですけどね。
Posted by: kaz | 02/03/2008 at 16:26
「万能ナイフではなく切れ味のいいフォールディングナイフのような道具」
応援します。一方では、そのようなワードプロセッシングソフトがMacintosh世界に存在しないことそのものに、行かれる道の険しさを想像します。個別の要望など求めてらっしゃらないでしょうし、加えて釈迦に説法であるとも思いますが、お伝えしたい気持ちを押しとどめられず、記します。
文章を書くことをなりわいとしております。
文章は、その長短や目的によって書き方がまるで異なるでしょう。
A)400字ほどの文章を、ブログやメールのために書く場合。
B)4千字ほどの文章を、明確な用途のために書く場合。
C)10万字ほどの文章を、創作的に書く場合。
この3つに分類したのには意味があります。「書く」ことだけを考えたとき、そのそれぞれに必要な機能に、明確な違いがあると思うからです。あえてそれぞれを説明します。
A)=日常の「文」を書く/最終出力=コピペ
用件が明確で、必要度の順に沿って頭から書けばいい、という類の書き方であることが多いこの場合、特に求められる機能はないと思います。ワープロ画面は、少し気の利いた「紙の代用品」であればよく、強いていえば、「軽い」ことこそが求められる機能でしょうか。素早く立ち上がり、最初の一文字目を打つまでに必要な時間が短く、文字の表示/消去のレスポンスが速いほど、優秀な紙の代用品となれると思います。
そういった意味では『テキストエディット』や『スティッキーズ』も適っていますが、その「コンピューター的=エディタ的」な風貌は、紙に例えれば「チラシの裏」とも。走り書き、用途が済めばくずかごに捨てることに抵抗を感じない。それはそれで必要なものではありますが、できうることなら「便せん」の風情を持った画面に文字を打ちたいと思います。
具体的に必要な機能は、以下のようになるのではないでしょうか。
・美しい画面と文字表示
・行間、字間の細やかな設定
・フォント、文字サイズ、マージン等を伴ったひな形の採用
・無限undo、redo。
B)=「文章」の製作/最終出力=紙
プライベートの長文の手紙から、レポート、マニュアル、雑誌記事など、仕事で使うシチュエーションも生じる分量です。また、頭の中だけで末尾までを整理し遂せることが難しくなる文字数です。
従って、この分量を書く場合、「断片のメモ」がどうしても別に必要となります。
メモは手書きのノートに書かれている場合もありますが、コンピューター上にメモがあるケースも多いでしょう。どうしても別画面にあるメモを参照しながら、主画面で本文を書くということになります。
また、文字数の規定があるケースも多く、縦書き機能の要請も生じますし、画面上組版の美しさや、出力時のことなど、用途から必要とされるファクターは増大します。しかし、これこそが、文章を作るための道具に求められる最低限の機能だと確信します。
・縦書きと、縦書きモード時の左スクロール
・ルビ
・半角の縦中横
・禁則
・縦43文字×横16行、行間4分アキなどの設定
・1行10文字ごとのマーク(字数計算用)
・自動ノンブル
・総文字数計算
・インテリジェンスなタブとインテンド
・チェックボックス付き箇条書きメモ(フローティングウィンドウ)
→スティッキーズ連携
C)=「文章の創造」/最終出力=インデザイン(プリプレス)で取り込み
小説家、翻訳家、脚本家など、文章のプロフェッショナルが書く文字数です。
ですが、製作方法は数千字の積み重ねに過ぎません。ただ、一度に全体を見渡すことが不可能だというだけです。10万字を書くためには、B)に加えて、「見直す」ための機能が必要となるに過ぎません。しかも、その機能はB)のユーザーにとっても有益であるはずです。
・章の機能→分割、統合が、任意点で自由に出来ること/名称設定可であること
・付箋→再考を要する部分に。名称設定可、別画面にリスト化&ジャンプ可
・校正機能→初校に対しての変更点が明確化される
・しおり機能→名前を付け任意点にマーク&ジャンプ→別画面にリスト化
・注釈機能
・ベタ保存したときに、ルビ等をどういう形に変換するか選べる機能(後処理対策)
誰に/どこで/どのような目的で
上は、ことすべての「設計」において不可欠な観点であると思います。取材なき設計は砂上の楼閣です。しかし、同時に取材しすぎの設計は切れ味を失いますので、線引きは難しいのですが。
思想が必要なのでしょう。すべてを理解した上で、収め、再構築した形を提案してくださる設計者こそが優秀な設計者であると信じます。
取材のひとつ、凡百の意見のひとつとして、お目通しいただければ幸いです。
「書く」という行為には、楽しみと苦痛が同居しています。
その「楽しい」気持ちを高めてくれる風情を持ち、苦しいときには(機能が)助けてくれる。そんなソフトウェアを求めて止みません。
長文、失礼いたしました。
Posted by: tway | 02/03/2008 at 18:10
廣瀬さんに強い共感と尊敬を抱いています。
また今後の活動もとても興味深く、期待もしております。
メールアドレスは公開されていないようですけれど、直接ご連絡をさしあげたい場合には、どのような方法があるでしょうか?
egwordの終焉を知ってから、ずっとワープロについて考えています。また、僭越ながら、何かの形で支援できないだろうか、とも。
ぜひともお話をしてみたいのです。
Posted by: ayumu | 02/04/2008 at 20:27